前回からの続きです。
今回は自作塗装ブースの設計概要をまとめてきます。
フードの型式
フードの型式は製作のしやすさも考慮してガットワークス社の NB-03 ネロブース 型を採用します。 分類としては囲い式フードとなります。 自作塗装ブース界隈でもよく使用されている形です。
フードの材料
フードは桐の板を使って自作することにします。 近所のホームセンターにちょうど良い寸法の桐板が安く売っていたので、それを利用します。 安いし軽いし。
倉庫で余っているニスを塗って長く使えるようにします。
制御風速
制御風速は有機溶剤中毒予防規則に定められている 0.4 m/s を採用します。 特定化学物質障害予防規則や参考図書の例では 0.5 m/s くらいが示されていますが、頻度や塗装量的な問題から 0.4 m/s で問題ないと判断しています。 また、他にも理由があるのですが、後述します。
必要排風量
囲い式ブースの必要排風量は次の計算式で求めることができます。 katex とか使えばもっと見易く表示できますが、面倒なのでそのままの表示で許してください。
Q = 60 * A * V0 = 60 * A * Vc * k (m3/min)
Q : 排風量
A : 開口面積
Vc : 制御風速
k : 風速の不均一補正係数 (1.2 くらいがよく使われます。)
本来は上記の式から排風量を計算してファンの選定を行うのですが、諸事情あって部屋にパナソニックの天井埋込形換気扇 FY-24JDG8 が転がっています。
もったいないのでこの換気扇を使用することにします。 この換気扇は弱、強、急速という三つの動作方式があり、急速で運転すると結構良い特性をしています。
ただし、最終的にこの換気扇を使うことによって制御風速 0.4 m/s 以上の能力確保とフードの大きさバランスが難しかったので能力ギリギリの設計となっています。
ダクト内の搬送速度
排気ダクト内の搬送速度は各種ガス、蒸気、ミストの一般的な値を取り 5-10 m/s とします。 というか、上記の換気扇を使う場合、接続できるダクト径が 100 mm となります。 レデューサを使ってもよいのですが、近くのホームセンターでの入手性を考えてダクト径は 100 のままでいくことにします。
排気ダクトについて
排気ダクトは亜鉛メッキのスパイラルダクトを使用します。 これも近所のホームセンターで手に入るので入手性を考慮した結果です。 ネット通販で買ってもよいのですが、長くなるので運ぶのが面倒そうなのでそれなら自分で買って運びます。 そこまで高いものではないのでどこで買っても大差ないです。
繋ぎの一部はミスミで買ったダクトホースを使います。
排気出口にはガラリを取り付けて虫や雨の侵入防止とします。
つづく
設計の概要としてはこんなところですかね。 あとはフードの開口面積と排気ダクトのルートを決めて圧力損失を計算して使用する換気扇の能力バランスを考えるだけです。
本来であればファンの選定は最後になるのですが、余った換気扇を使う都合上、換気扇に合せた開口面積と排気ルートになります。
仕方なしですね。設置場所の大きさ的な都合もありますし。