PCを更新してから3Dプリンタ用のスライサーに不具合が出ていました。
ついでなので今まで使ったことなかったPrusaSlicerを試してみたので普段使っているCuraと造形を比較してみます。
スライサーとは
3DデータをGコードに変換するソフト。
Gコードとは工作機械の軸移動、座標設定や回転など設備の制御を動作を処理するためのコードで、G+2桁の数字で構成されています。
NC工作機械で主に使われています。
私はNC旋盤しか使ったことがないのですが、なかなか楽しい制御方法です。
スライサーソフトによりSTLなどの3DデータをGコードに変換することにより、3Dプリンタで実際に印刷できるようになります。
無料の有名所としてUltimaker CuraとPrusaSlicer、有料の有名所としてSimplify3Dがあります。
今回は無料の2ソフトを比較してみました。
Ultimaker Cura
Ultimaker社で自社3Dプリンタを制御するために開発されたスライサー。
オープンソースであり、Ultimaker社以外のプリンタでも使用できる。
私が持っているEnder3やHICTOP Prusa i3ではこのソフトが推奨されているようです。
PrusaSlicer
旧Slic3r、オープンソースで開発されており、PrusaResearchの公式なスライサー。
RepRapプロジェクトと関わりが深い。
要するにオープンソース支持者が集まって、3Dプリンタ自体の構成や設計図、スライサーまで全て公開しているプロジェクトの一部。
印刷物と設定
印刷物はいつもの「船」です。寸法表が明確化されているので比較するには最適です。
プリンタはEnder3pro、フィラメントはcreality3dのPLAフィラメント黒を使います。
印刷設定として
レイヤー高さ: 0.2mm
印刷温度: 180℃ (初期レイヤー 190℃)
印刷速度: 40mm/s (初期レイヤー 10mm/s、ウォール 20mm/s)
ビルドプレート温度: 60℃ (初期レイヤー 70℃)
で行います。
ノズルとビルドプレートの隙間はシックネスゲージで0.1mmに調整しています。
外観比較
Ultimaker Cura
全体的に非常に綺麗に印刷できています。
R部分の手触りもよく、細かい文字、穴もよく造形できています。
浮いている部分もフィラメントが垂れることなく綺麗に印刷できており、レベルが高いです。
しかし、レイヤーが変わる際の荒れが目立つ部分もあります。
これさえなければ目視では完璧な印刷ができています。
PrusaSlicer
こちらも全体的に綺麗に印刷できていますが、手触りで少し引っかかりがあるなど若干の荒れがあります。
特に船の後方、径の小さいR部は荒れが目立ちます。
黒のフィラメントで写真だとわかりづらいですが、肉眼でみると粗がよくわかります。
浮いている部分の造形はCuraと同じく垂れることなくよく出来ています。
寸法比較
私が持っている一番いいミツトヨのノギスで各部を測定しました。
Ultimaker Cura
ベンチマークの寸法通り造形できていました。
1/100mm単位で少しズレているように見える部分もありましたが、外径、穴、四角穴ともに十分な精度で印刷できています。
PrusaSlicer
一部0.1mm単位でズレがありました。
大きく造形されているもの、小さいものとプラスマイナス両方に寸法が振れています。
造形物としてみるなら気にならない程度ですが、ベンチマークとしては「うーん......」という感じです。
精度に関してはCuraと比較してズレが目立ちました。
造形速度
両方共に2時間程度で印刷できました。
印刷時間に関しては条件を揃えたことによってほとんど差がないです。
まとめ
私の環境ではUltimaker Curaの方が優れた結果となりました。
PrusaSlicerも無料のソフトとしては十分だと思いますが、ベンチマークなので優劣ついてしまうため仕方ないです。
条件を揃えた部分以外は初期設定のため、その点で差があったかもしれないです。
もう少し、印刷の条件を追い込めばお互いにもっと綺麗に印刷できるかもしれません。
結果としてCuraの方が優れていましたが、レイヤーが変わる際の荒れはやはり気になります。 この部分だけでも設定でもう少し綺麗に造形できるようにしたいです。
余談
Simplify3DならCuraやPrusaSlicerよりも綺麗に造形できるかもしれませんが、約150$はなかなか手が出ないです。
本業でもなく趣味でやっているだけなので無料ソフトでやっていこうかなと思います。
本音は?
......ほしい。