LycheeSlicerのフィラメント機種機能を試す

レジン系 3D プリンタのスライサーとして有名な Lychee Slicer というソフトウェアがあります。 このソフトは Mango3D という会社が開発している 3D データのスライサーソフトです。 光造形プリンタを対象としており、主要な機種は全てプロファイル対応しています。 また、対応していない機種も別途設定を行えば利用することが可能です。

この Lychee Slicer が Ver5.0 からフィラメント系 3D プリンタもスライス可能になっています。 ただし、まだベータ版となります。

Lychee Slicer がフィラメント式 3D プリンタに対応したことでスライサーの選択肢が広がります。 現状、フィラメント式 3D プリンタのスライサーは Cura か Prusa Slicer の二択という状況です。 業界の競争という観点から選択肢が増えることは喜ばしいことだと思います。 せめて、3 〜 4 の選択肢はあったほうが良いと考えます。

ということで、Lychee Slicer を試してみます。

ちなみに結果を言うと、今の所、使い物にならないです。 素直に Cura か Prusa Slicer を使った方が良いです。

概要

Lychee Slicer を試す環境は次の通りです。

項目
OS Manjaro Linux Plasma
Lychee Slicer Ver 5.1.8

Lychee Slicer

起動と初期設定

初期起動すると機種の設定に進むので自分の使いたい機種を選択します。 大体、一般的な機種を網羅しているので問題ないと思いますが、機種一覧に無い場合は Custom 3D Printer から自分で設定します。 ちなみに、日本語には対応していないので英語あたりで進めることが一般的だと思います。

設定後は次のような画面になるはずです。

初期起動

左上にテストデータが用意されています。 よく使われる XYZ キューブや 3DBenchy などもあります。 このテストデータを予め用意してくれているという機能は非常に便利だと思います。 元のデータを持っていなくてもワンクリックで準備ができます。

印刷設定

手始めに 3DBenchy を選択して印刷設定を行います。

3DBenchyの選択

印刷設定は上のボタンから Prepare を選んで行います。 Lychee Slicer の場合は基本的に画面上に用意されているボタンから操作を選択して設定していきます。 問題点として、フラットデザインを採用しているためクリック出来るボタンが分かりづらいです。 多分、初めて触る人はどのように操作を進めるのか悩むと思います。

印刷設定の項目は右側に出ます。 簡単な設定は Basic タブで可能です。 込み入った設定をしたい場合は Advanced を選択して下の方にある Edit selection から設定したい項目を編集できます。

印刷設定

Advanced 設定の Edit selection を行う場合は次のような画面になり、設定できます。

Advanced

スライス

設定が出来たら画面上のタブから Export を選択してデータをスライスします。

Export の Generate Gcode を選択するとデータのプレビューが可能です。

Export

ここでトラブルが発生しました。

トラブル

Generate Gcode から Gcode を作成しプレビューを確認する時点で Lychee Slicer がクラッシュします。 その後、自動的に再起動しますが、再起動した時点で再びクラッシュして再起動します。 つまり、再起動ループに陥って操作不能になります。

クラッシュ

再起動してリカバリー画面が出ますが、この画面表示中にさらにクラッシュします。 なんとかタイミングを見てスクリーンショットを撮ることができましたが、再起動ループに陥ります。

あくまで、私の環境ではこのようなトラブルが発生し、使い物にならないです。 また、プレビューを確認せずに Gcode を Export する際にも同様の症状が発生し、まともにデータ生成ができないです。

結果

Lychee Slicer のフィラメント系スライサーを試してみましたが、データ生成すらできない状態です。 これでは使い物にならないです。

まだベータ版であること、OS が manjaro linux という一般的でない環境下なので仕方ないかもです。 WindowsMac で試すと普通に使える可能性があります。 というか、流石に使えると思います。 しかし、私の環境では駄目です。

感想

私の環境では全く使えないですが、スライサーの選択肢を増やすという意味ではがんばってもらいたいです。 Cura や Prusa Slicer に次ぐ選択肢になる可能性があるので安定した動作をするように改良してもらいたいと思います。

また、Lychee Slicer は公開当初から起動が遅いという問題があります。 その他のスライサーと比べても明らかに起動が遅いです。 この点も直してもらいたい点です。

今の積層式 3D プリンタ界隈でスライサーを選択する時は Cura か Prusa Slicer の二択となっています。 その他のスライサーは機種の専用品を除いてあまり選択肢に上がらないです。

Lychee Slicer が安定した動作を行うようになれば選択肢が増え、界隈の活性化が期待できます。 そのような意味でもがんばって開発してもらいたいと思います。

しかし、データ生成もできなかったというのは残念です。 私の PC 環境が悪いのでしょうか?